警備員に見られながら、足が取られそうな程毛足の長い絨毯の上を歩き、俺は副社長の部屋に通された。


「副社長、三島さんをお連れしました」


「ああ、ありがとう。話はすぐに済むから、お茶は結構です」


 書類から顔を上げた一条海は、俺を一瞥した後、中山春に向かってそう言った。優しく微笑みながら。どうやらこの二人の仲は、俺が思った通りらしいな……


「時間がないのでお呼び立てしてしまいました。どうぞ、掛けてください」


 そう言いながら俺の向かいに座った一条海は、鋭い目で俺を睨んだ。前に職場に来た時よりも、更に凄みのある目で。