部屋には美代の笑い声がカラカラ響く。テレビの中からも笑い声が響く。俺はテレビのリモコンを拾い上げ、電源を消した。

「あ、何するのよー」

 突然画面を消された美代が抗議の声を上げる。その睨みつける瞳を、俺は、じっと見つめ返す。

「ねぇ、テレビなんかよりも、もっと俺の方を見て…」

 突然の歯の浮くような台詞に、美代は耳を赤くさせ視線を泳がせている。
 俺は、いや、俺達は、この先一体何を創りだしていけるのだろうか。親父や母が一緒に創りだしたかったもの、そして創り上げたものは俺の中にも生きている。創りだすには長い年月が掛かるかもしれない。でも、どれだけ年月が掛かっても構わない。たとえ美代と別れることがあったとしても、それはいつまでも俺達の中で生き続け、満たしてくれるだろう。
 そう、今度は俺達が創りだす番だ。

 突然俺の携帯電話が鳴りだす。聴きなれた着信音を止め、俺は美代の手に自分の手を重ねて微笑んだ。



― end ―