「海斗……」


むっくりと立ち上がり、思わず呟いた。

陽菜一筋で、いつもいつもアタックし続けてる海斗。

いくらなんでも、タブーだ。


俺は知ってる。


マネージャーとしてサッカー部に入る前から、海斗は陽菜が好きだった事を。

入学式で、一目惚れした子がいると話してくれた事を。

マネージャーとして頑張っていた陽菜を、騒ぎながら見ていた事を。

陽菜と初めて話した時の、気持ち悪い程の笑顔を。


ガキの頃、サッカークラブに誘ってくれた、あの無邪気なアホを裏切らない。


……そう、思っていたのに。


俺、海斗に、陽菜との事を隠し通すつもりだった。

そんでそのまま、普通に過ごすつもりだった。