「私がサッカー部のマネージャーになったのは、柊哉が居たから。ここまで私が頑張れたのも、柊哉が居たから頑張れた。“お疲れ、陽菜”って……っ!その一言で、頑張れたの!」


俺は、バカだ。

こんな状況でも、愛波の事を思い出さなかったなんて。


黙っている俺をよそに、陽菜はそのまま感情をぶつけるように叫んだ。


「なのに最近の柊哉と愛波ちゃん、ちっともお互いを気に掛けてなくて……。だったら私と柊哉が付き合ってもいいじゃん!!」


いつも男相手に、厳しくも優しいマネージャーだった陽菜の感情的な涙を見て、不覚にも目が離せなくなった。


「柊哉だってわかってるんじゃないの?愛波ちゃんが告った時、柊哉は愛波ちゃんの事、好きだったの?」

「それは……」

「そうじゃないよね。だったら私からのキス、拒むんじゃないの?」