裏門から猛ダッシュで駅まで走り、ホームに着いた頃には汗だくで。
手の甲で額を拭うと、急に笑いが込み上げてきた。
なんであたし逃げたんだろ。
完全に柊哉が悪いのに。
てか柊哉って、綺麗系が好みなんじゃん。
あたしとは正反対の、美人さん。
チビでスタイルにも自信がなくて、特別光る才能もなければ地味でもない。
宮崎愛波は、そんなありふれた女子高生なんだ。
そんな一般人が、学校でも有名なサッカー部のイケメンキャプテンと付き合うなんて……。
「……バカみたい…」
ほんと、バカ。
柊哉なんて大嫌い。……大嫌い。
嘘。
大嫌いだったら、今こんなに涙は溢れないよね。
大好き。
柊哉、好きだよ。