ママは、アニーがビックリするほどの大きな声で笑い転げたので、アニーはちょっと、気味が悪くなって、心配になりました。

「ママ……?」

 ママは笑いすぎて、よじれたお腹をもとにもどしながら、アニーを見ました。

「そうよ、みんな、忘れているのよ。アニーのいうことは、間違いないのよ」

 ママは、アニーを見つめて話を続けました。

「人間は、いつのまにか、見えるモノしか信じなくなったわ……でもね、それでも、見えない『夢』や『希望』や『愛』は信じたいのよ……つじつまがあわないわよね」

 ママは、窓の外に静かに降り積もる雪を見ていいました。

「サンタクロースはいつも、クリスマスには見えない贈り物を届け続けているの。でも、それだけじゃあ、子どもたちにはものたりないだろうからって、サンタクロースは親たちに頼んだのよ。子どもたちが、頑張ったご褒美を私からだとあげて欲しいって……それが無理なら、心のこもったキスを……」

 ママの声は、涙声になっていました。