誰かが私の名前を
呼んでいる。

小さく囁く声。


あなたは、誰ですか。



どこにいるんですか。




真っ白の世界の中で

ただ知らない声だけが聞こえる。






―山瀬さん―




ハッと気づいた時には

もう遅くて。




頭に軽い痛みが走って

目が覚めた。



「93ページ、問6」



数学担当の高平が
隣で私を見下す。

慌ててノートを見るけど
ぐっちゃぐちゃで
何を書いていたのかすらわからない。


かろうじて読んだのは

最後の行の答えらしい文字。




「この命題は真である」



「その章は終わったぞ」


「え」





ギャーギャーと
クラス中に笑われてる私、
恥ずかしすぎる…。