ましてやこんな風に……


「おやすみ。俺のことを考えながら寝ろよ?」


クスッと甘い瞳で笑った後、おでことおでこを軽く合わせて、するりと髪を撫でられるなんて……。


そんな経験あるわけない。


だから、どうしていいのかわからなかった。


「わ……私、まだ、付き合うとか言ってないから」


可愛くないことを、可愛くない態度で言って、長谷川くんの体を押すようにして、その反動でタクシーから降りようとした。