「何を?」


いきなり静かにそう呟いた潤の言葉に、俺は疑問しか浮かばなかった。


「梨恋ちゃん……」

「梨恋?梨恋がどうかしたのか?」


未だにわけがわからない、という顔をしてる俺に

潤が少し呆れたような表情を見せた。


「昨日の夕方だよ。ちょっと用事があって自転車で走ってたら、今日の家の近くの公園で梨恋ちゃんに会ったんだよ。

……泣いてたぞ」


「え……」


昨日の夕方というと、ちょうど俺と梨恋のやりとりがあったくらいか?


公園ってのは、おそらく不自然に青い滑り台があるあの公園だ。


あんなに暗くなってから、小学生が1人で家の外に出るなんて……。


「1人でブランコに座ってたからさ。もう周りも暗くなってたし、公園には他に人もいなかったし、危ねぇだろ?

それで、家まで送ってやろうと思ったら泣いてるからさ……。話、聞いてやったんだよ」


そこまで言うと、潤は俺の目をまっすぐ見た。


「聞いたよ。お前のことも。『因』の部分を、詳しくな」