ちょっ……!


あたし、化学の用意持ってないし!!





「新垣、くんっ!あたしっ…教科書持ってきてないっ…!」





新垣くんのものすごい


足の速さに、多少もつれながら


必死に足を動かした。





「俺が持ってるから大丈夫!」

「えぇっ!?」





振り向いて笑いながら


こう言った。


あの2人分の教科書は


あたしのも入ってたんだ。




あぁ……先輩と違って


新垣くんは爽やかだなぁ…


なんだか、新垣くんの笑顔に


少しだけ、癒された。






でも、この現場を、


先輩が見てたことも知らずに──。