「明お疲れ様、あたし達も今さっき帰って来たの」
勤めてビジネスライクに言ってみた
けど、苦虫噛み潰したような顔で
明は近づいて来て
「とりあえず顔貸せ」
真面目な顔で睨むから
いつものトコロ、ヘ
そのまま連行された。
いつものトコロと言っても
ただの自販機と喫煙所の先にある
非常階段の踊り場のコト。
自販機でコーヒーを買って
非常階段に出ると
一緒に真也も来ていた。
「伊織、大丈夫か?」
「えっ? ……う、うん」
怒られると思っていたから
逆に
用意してた言葉を失ってしまった。
「帰り、明と新幹線で見た」
ポツリと真也が言う。
相変わらす言葉数か少ない。
「動画が貴梨香から来たんだ、偶然見つけて驚いて、伊織と生方は付き合ってるのか? って……、ホントに何やってんだよ?」