なんて、希望も虚しく



 会社に着いたあたしは

 お疲れ様~、っと

 言った瞬間、フロア中の注目を集めた。




 えっ? 嘘でしょ?





「ダレか、バラまいたンじゃないすか~?」





 いっ!?



 コソッ、と耳打ちして

 由似は、自分の席に着く。





「伊織、とりあえず後で明の方の打ち合わせな~」



「今日入れて、何回だっけ~?」





 可児とハルトが

 ガンバレと言わんばかりに

 背中を叩かれ、タメ息をつく。





「……」





 やったもんは仕方ないし

 開き直るしかないか。





「お疲れ様です伊織さん」



「お疲れ様、なんかものものしいね」





 いち早く挨拶に来てくれた遥花に

 知らないふりで催事報告書を渡す。





「あの、動画の影響みたいです……」



「遥花も見たの?」





 出来れば、一番見てほしくない

 相手だったかも……