「……まさか亜美ちゃん、恋もまだなんてことないよね?」





 ひゃ~っ!



 図星です、とも言いにくい

 けど……。





「……は、はい、実は」





 好きな人さえ

 まだいたことないんです。





「うわぁ、今どき天然記念物だね~」



「あはは……、あんまりそう言う機会がなくて……」





 ここ数年

 それどころじゃなかったし。





「じゃあ、カッコイイなぁとか素敵だなぁって人は?」



「……」





 もう一度、頭に浮かぶ顔を

 アタシは、目の奥で見つめたまま

 小さく頷いた。





「いるの? ……だ、ダレ?」



「……」





 アタシは、恥ずかしくなって

 小さい声で言った。





「い、印南、先輩……」





 うわぁ……

 名前を呼んだだけなのに

 顔がどんどん熱くなってきて




 アタシは

 うつむいたまま頬を両手で押さえた。 





「えっ? 印南先輩!?」