「…あの、さ」
言葉をためらわせながら
わたしを見る、伸。
なんだろうと思って、
携帯を触るのをやめる。
「付き合ってほしい…!!」
「…えっ!!」
「今日出会ったばかりだけど… これから、もっと桜のこと知りたいって思う!!」
伸の顔が
タコのように赤くなる。
わたしも
つられて赤くなった。
「…好きなんだ、桜のこと」
「ありがとう…、でもごめん」
「…なんで…?」
「…前の彼氏に未練があるんだ。伸のことも大事だけど、今のままじゃ付き合えない」
わたしは
きっぱりと断った。
けど、伸は…
「それでもいいよ。俺は、少しずつでもいいから、好きになってほしい!!」
伸の純粋な言葉と気持ちに
わたしは
何も言えなかった。