窓側の一番後ろの席から数えて、二番目の席。

そこで俺こと長谷川 智輝は窓の外……空を見ていた。

いつもならクラスの連中とアホな事で騒いでる休み時間。
しかし、今日はそんなばか騒ぎをしているような気分にはなれない。



何故ならば……。



智輝は不意に窓の外から視線を外し、教室を見渡す。

そして、ある席に座っている少女に視線が止まった。

少女は数人の女子に囲まれて楽しく談笑をしている。


──沢木 麻耶(さわきまや)


少女は智輝の幼なじみだ。
小さい頃からずっと一緒の……。

思考を停止し、再度麻耶を見る。
すると、何か面白い話題でもあったのか、麻耶や周りの女子は笑いだした。

何が面白いのか知らないが……智輝は麻耶の顔を見つめる。
その笑顔は他の女子のどんな笑顔よりも智輝には輝いて見えた。




……いつからだろうか。


アイツの笑顔を特別に感じるようになったのは。




……いつからだろうか。


アイツのことを"幼なじみ"としてじゃなくて"女の子"として見るようになったのは……。