「あの夢以来かな。僕のこと覚えてる?」




あの夢に出てきた人がいた。


椅子に座っているその人は、椅子から立ち上がりこっちに歩いてきた。




近づいてくるにつれて冷気のようなものがあたしを包む。




「ねぇ、美姫。僕の事を覚えていないのかい?」


「え………?」



頬を冷たい手が包み込み体がビクッと震えた。





「覚えて……?」



あの夢に出てきたことは覚えている。



でも、その他にあったことあったっけ?



「いや、やっぱり何でもない。」



すると男は突然指をパチンと鳴らした。