｢……私、相模くんのこと好きだよ。
私のこと気にかけて、声かけてくれたりするの、すごく嬉しかった。
でも、恋愛感情としての好きじゃないんだ。
ごめんなさい｣

｢……ん、わかった。
でもさ、嫌いなわけじゃないんだろ？｣

｢それは勿論、嫌いなわけないよ！｣

相模くんの予想もつかない問いに、私は慌てて否定した。
嫌いだなんて、とんでもない。
すると相模くんはにこっと笑った。

｢じゃあさ、神田が俺のこと恋愛感情で好きになってくれるまで追いかける。
振り向いてくれるまで、諦めないから｣

｢……え？｣

｢そりゃ迷惑になったらそう言ってくれよ？
だけど、それまでは神田が俺を愛してくれるまで頑張る。
悪いけど俺さ、諦め悪いから｣

そう言って、相模くんはにやりと笑う。
私から一瞬たりとも目を逸らさずに言うものだから、私も相模くんから目を逸らせない。

彼はなんて言ってくれたのだろうか。
拒絶を意味するような単語は、一切なかったように思う。
いや寧ろ、私が相模くんを好きになるまで待ってくれると、そう言ってくれた気がする。
そんなに、私に都合のいいような結論でいいのだろうか。

だって、相模くんを必ず恋愛感情で好きになる確証なんてない。
相模くんはああ言ってくれるけど、私なんかの為に彼の時間を奪ってしまっていいのか。

でも私は、狡い人間だ。
彼の申し出に、少し間を置いたものの頷いた。