「俺、入学式の時に初めて見たときから神田のこと好きだったんだ。
彼女になってほしい」


思いもしない相模くんの告白に、私はなんの言葉もでなかった。

いや、なにか言わなければと口を開くけど、ぱくぱくと金魚みたいに開けたり閉めたりを繰り返す。
相模くんから見れば滑稽な姿だろうと思う。
私自身、平常な場合なら真っ赤になって恥じるだろう。
でも今は異常事態だ。
私のこの状況は仕方ない。

「……神田?」

さすがに不審に思ったのだろう。
気遣うように私の名前を呼ぶ。
パニックになりかけた私の頭に、相模くんの呼び声は響いた。
だんだんと平常を取り戻していく。

そして、やっとのことで言葉を述べることができた。

「……私?」

「うん。神田って、よく一人で居るじゃん。
最初は気になってただけなんだけどさ、だんだん気が付いたら神田のこと見てるんだ。
それに気付いたら、家で居るときも神田のこと考えてた。
話してみたい、友達になりたいってのが、どんどん付き合いたいってのに変わってって。
今まで好きな人なんて居なかったんだけど、これが好きってことなんだなってわかったんだ。
だからさ、彼女として傍にいてほしい」