私は、学校というのは一種のコミュニティサイトだと思っている。
偽の表情を貼り付けた仮面を被って、周囲の顔色を窺い、思いもしていない台詞で媚びへつらいながら愛想笑いで何気なく日常を過ごしていく。
それは顔を見ないままに印象を悪くしないよう、必死に言葉回しを考えながら交流するコミュニティサイトと同じだというのが私の考えだ。
そのコミュニティサイトの名前は、櫻ヶ丘高等学校。
約一ヶ月前に私が入学した、ごく普通で一般的な府立高校だ。
私はその一年A組で、窓際の自分の席に座り、肘をつきながら外を眺めていた。いつもそうして、退屈な昼休みを潰している。
くすんだ暗い空を鉛色の雲が緩く泳ぎ、思わず気分が沈むんでしまう程にどんよりとした曇り模様を演出している。重苦しい天気だった。
5月という季節にしては結構肌寒く、その上雨が降るかどうかどっちつかずな天気。
なんとも迷惑極まりなかったが、私はそんな天気が好きだった。
変わり者かもしれないが晴れは只、なんとなく苦しくなり嫌い。
雨は、単純に傘という手荷物が増えるし、それに濡れるのも面倒なので嫌い。
その中間の、雨が降りそうで降らない、今にも雷鳴が唸り雲間に雷光が迸るような、不穏な天気が好きだった。
まさに、台風がきて喜ぶタイプの人間。