お菓子なんかよりも遥かに衝撃的な単語に思わず驚いて母の顔をみると、
真顔だった表情がいつのまにか、上機嫌な笑顔にかわっていた。


「そうなの!転入するのよ、さくらっ。
しかも転入先は、なんと、
将来有望な美男美女が集まる、星歌学園よ!!!

まぁ普通科だけどね☆」


いつも通りのテンションの母にそう言われて、私の思考が付いていかない。

...とりあえず、


『星歌学園?』


どこなんですかねぇ、それ。


「えっ!!あなた、星歌学園しらないの!?」


母が目を丸くさせて聞いてきた。



『え?そんなに有名な学園なの?』



...この15年間普通に生きてきたなかで聞いたことがないけど。
ってそれって有名っていえなくない?

と、心の中で言い訳をしているとお母さんに
さくら、それでも年頃の娘??と言われてしまった。


...失礼な。


「まったく......いい?星歌学園はね、
初等部、中等部、高等部からなるお金持ち私立学園で、敷地もとっても広いのよ!
さらに、さらに!日本で一つしかないアイドル科と普通科のみの学園で、
アイドルには当然、
毎年将来有望の美男美女があつまるの!!
だから、毎年普通科はアイドルの卵目当ての子で、倍率が異常なんだから!!」


『は、はあ...』


あまりにもマシンガントークをする母に圧倒されたが、
いや、しかし、アイドル科...。
そんなのがあるなんて今の日本はすごいなあ。