『あーあ、照れちゃってカーワイイー
まぁ、走れるぐらいだし、大丈夫よね?』


と走り去っていく女の子を眺めながら私がつぶやくと、和馬が、おずおずと話しかけてきた


「あのさ、サク...
もうひとつ聞いてももいい?」


『なに?』


「さっきのあれ、もしかして...?」


『あぁうん、母さんに教えてもらったけど...』



なぜか怪訝そうな顔をした和馬にそうかえすと、


「やっぱりそうか」


と納得されてしまった。
その様子に私は不安になって


『やっぱり、変かな?
自分でいっててかなり恥ずかしかったんだけど...』


「いや、変ではなかったし、様になってたよ、うん。」


…真顔でかえされた。


『ならいいか。死ぬ気で練習したかいがあったよ』


練習、とはいったものの、自分の母親を相手に
口説いているかのような台詞を言わされるのはかなりキツかった。精神的に。