まあ、倒れなくなっただけ進歩か...
と思いつつ綺麗に90度下げられた夏美のつむじをぼんやり眺めていると、あることに気がついた。
『夏美、もしかしなくても女の子1人じゃない??』
その言葉に夏美は顔を上げると、少し困った顔をした。
「そうなんだよね......」
まあ、ここにも女の子(仮)がいるにはいるけど、
はたからみたら女の子1人で可哀想な班である。
私がもしこの班で、女の子1人だとしたらもう、オリエンテーション仮病で休むね。
「...加藤、大丈夫か?」
いつの間にかどんちゃん騒ぎから抜け出してきた翡翠くんが、会話に入ってきた。
「えっ?あっ!大丈夫大丈夫!
オリエンテーション、楽しくやろう!」
「...おう」
ん?
『?ひす「...じゃ、そろそろ顔合わせもすんだ頃だろうし、席に戻ってもらおうかな?」
タイミング!!!タイミング悪いよ!先生!!!
「どうした?サク」
『あ、や、なんでもない』
先生の一言で自然とみんな席に戻っていった。
声をかけたのを遮られたけど、
翡翠くんの浮かない顔が、夏美の笑顔が、
なんだかとても引っかかった気がした。