「あら! あなた、夕食を食べる気?」

彩名さんが目を丸くした。


「食べるよ。誰だって食べるだろう?」


『でも』と言いかけて、彩名さんは残りの言葉を飲み込んだようだった。


「そうね。そろそろそうしてもいい頃だわ」


おかしな言い方だと思った。


「とにかく、僕にも妹ができた訳だから、ちゃんとしないとね」

圭吾さんはそう言って、コーヒーを飲み干した。


『妹』という言葉に舞い上がる気持ちを抑えながら、わたしはポツンと

「いつも通りで」

と言った。


圭吾さんがわたしの方を見たので、慌てて目を伏せた。


「いつも通りにしていて下さい」


わたしの事なら、気にしないで

なるべく邪魔にならないようにするから


「あ……ゴメン。迷惑だよね」


圭吾さんの言葉に、わたしは弾かれたように顔を上げた。