「あみー!隣のクラスの恋くんって知ってる?
ほら、彼氏にしたい人ナンバーワンで有名な。
愛美に用事あるみたいなんだけど知り合い?」


誰よ、そいつ。
内心そんなことを思いながら
知らないとだけ返す。


知らないと言えば知らないのだけれど、
顔を見て思い出した。


昨日の男が軽々しく話しかけてくる。


あの作ったような笑顔が、
鼻につく。


こいつが
彼氏にしたい人ナンバーワンだなんて、
ただの仮面被ったいけ好かない男にしか
私は見えない。


「こんにちは。
ちょっと話があるんだけど、放課後暇?」


相変わらず憎たらしい笑顔。


私は少し考えてしまった。
こいつに関わるとろくなことがない、
という勘と、
昨日のことを黙秘すると約束させる
いい機会という思いの葛藤。


「ええ、暇よ。じゃあ、放課後にね。」


嫌な予感しかしない。


ああ、
最悪だ。