「……寒い。」


外は、雨が降ってるか降ってないかという状態だった。


朝だし、こんな状態だから気温が低い。


やっぱりマフラーすれば良かった……


でも、もう電車に乗ってしまった。


私はそう思いながら電車に揺られ、学校に向かった。







―――――――――――――――…


学校には、いつもより早く着いた。


教室のドアを開けると、静かで誰もいなかった。


1人を除いて……


その1人というのは、黒沢瞬介という男子のこと。


黒沢くんは、いつも色んな人と楽しそうに話している。


でも、授業は真面目に受けているのだ。






私は前に黒沢くんと席が近い時があって、ノートや物を貸したり、話したりした。


誰とでも仲良くなれる彼が羨ましく、憧れでもあった。


つまり、私はそんな黒沢くんが好きなのだ。


教室の中は暖房がきいていて、暖かい。


でも、何故か黒沢くんはマフラーをしながら寝ていた。


私は彼を起こさないように、静かに自分の席につき、バッグから教科書を取り出したり、今日の時間割を見たりした。






…でも、やっぱり気になる。


黒沢くんの席は私の見ると斜め後ろの位置にある。


私は後ろを振り返り、黒沢くんの方を見た。


少し見える寝顔……


…かわいい。


イラストを描くのが好きな私は、モデルにしたいとか思ってしまう…。


前にも、他の人をこっそり盗み見て描いたりもした。←





いやいやいや、さすがに後ろだし。


それに、その光景を誰かに見られたら……(汗)


うん、やっぱりやめよう。


少しすると、何人かクラスメイトが入ってきた。


「おはよー。」


「あっおはよう。」


クラスの人はみんな元気で、私にも挨拶をしてくれる。






すると、少し騒がしくなったせいか、さっきまで寝ていた黒沢くんが起きた。


「瞬介、おはよう!」


「おー、おはよう。」


「ねぇ、雪降ってない?」


「あ、本当だ。雪降ってる!!」


教室にいる人たちが、そう言って窓の方に行った。