「そ…れは…」
「クリスマス、確か他の人も誘ったんでしょ?
だったら、俺なんていてもいなくても一緒だよ」
「そんなことないよっ」
「一緒だって。それに、クリスマスってさ……“恋人達の日”だよ?
だから俺には無縁の話だよ」
それだけ言うと、「ってことだからさ。また来年会おうね」と言いながら水沢くんは私の頭の上にぽんっと手を置いて立ち上がった。
ダメ……。
行っちゃう…。
帰っちゃいや…。
私の横を通り過ぎた水沢くん。
今を逃したら次に会うのは“来年”。
日にち的にはそこまで長くなくても、“来年”と言うととても先のことに感じる。
「待って」
私が水沢くんの方を向くのと、彼が振り向いたのはほぼ同時だった。