ギュウ


弘樹は私を強く抱き締める。


「ちょ、弘樹!酔ってるならもう寝れば?」


私は弘樹を引き離そうとした。


「……俺、疲れた。愛奈…」


私が押すと、耳元で弘樹が呟いた。


「弘樹…?」


弘樹の声は、消えてしまいそうな位…小さかった。


「…もうちょっと、じっとしてて」


弘樹が呟く。


…弘樹


何かあったのかな…


私、心配だよ…


でも、初めて名前で呼ばれて…ちょっと嬉しかった。