「雛?」


聴こえるのは襖を開ける音と、高い声。

それと、畳を擦る音。

来ないで。と願うも、これはかくれんぼ。探すのが鬼の役目。隠れるのが逃げる者の役目。

だからこそ、鬼は押入れの前で立ち止まる。

だからこそ、鬼は押入れを開けた。

光が徐々に差し込んでいく。

一センチ。

二センチ。

三センチ。

……

八センチ。


「~~!」



「……ここ、布団だらけだったけ」


零、センチ。

音は遠ざかっていく。