- 息も切れ切れになりながら手を伸ばした。 「待って椿くん!」 「ほら雛、早く!」 私はその姿を追い掛けるの。一生懸命走って追い付こうとするの。 でも、椿くんは速くてどうしても追い付けなくて、次第に私の足は止まり立ち止まってしまう。 泣きそうになりながら膝に手をついて息を整えていると、手を差し出されるの。 「雛」 優しい大好きな大好きな手。 「うん――……」 顔を綻ばせ、手をとった。なのにそれは。 血にまみれた赤い手だった。 「いや…やだ……いやぁぁぁ――!」