- 意識があるのなんてほんの数十分間の間だけで、後は高熱で昏睡状態にも近かった。 薬が切れれば足は千切れるような痛みを連れてくる。その二つのせいで寝るのも起きるのも地獄だった。 だが、その熱が嘘のように引いた。 起きてもふらつかない。気持ち悪くない。ただ、足を引き摺らなければ歩けないが、無理をすれば出口までもつ筈。 そう、これがきっと最後の遊び。 『いい事教えてあげる――……』 その言葉の続きを思い出しながら、隣の椿くんの手首を見つめた。 「――……」 そしてまた、歩みを進めた。