「律、行こうよ」


夢架が再びコートの袖を引っ張った。


行こうよ


それは塾に、じゃない。

きっとそうだ。

前に、行こうよって意味に聞こえた。


時間は待ってくれない。

戻ってもくれない。


でももう、今更俺は動けない。



…時間を戻したい。




このとき初めて、そんな叶いもしない願い事を神様にしたんだ。