だから自分に嘘をついてごまかすことしか出来ない俺を。

見透かさないでよ。


言ってしまったらもう、嘘にできなくなるから。

俺が希衣を好きな現実を消せなくなっちゃう。


「最後ぐらい素直になりゃいーのにな。無理して、強がってんじゃねーよ」


そう言ってスタスタ歩き出した千尋の、一歩後ろを歩く。

…千尋はほんとうに。

俺をよく分かってるみたい。

怖いくらいに。