『これ、希衣に』

『手紙? え…律から?』

『いや俺じゃない』

『………そか。ありがと』


わずかに抱いた期待は泡となって消えていく。

いつもそう。

希衣がみんなに優しいから。

そんなことの繰り返し、無限ループがもうすぐで二年になる。

もうやめなくちゃいけないのに。

高校だって、希衣が受けると知ったから、今までの第一志望校をやめて志願先を別の高校に変えたのに。

なんで。 

なんでまだ好きをやめたくないと思ってしまうのだろう。


「お前ってさ、ばかじゃねぇの」

「うん。知ってる」


いいよ

 
そう言ってしまった日から、俺はずっとばか。



「ばかって気づいてて動かねぇとか。まじばかじゃね」


正論だからよけいに腹が立つ。

見透かさないで。

必死に無理して取り繕ってきた俺を。


もう後戻りなんかできやしない。


時間はいつも俺たちをおいて流れていく。

やっぱり、残酷。