「それに奥原くん、もうすぐ大会でしょ?」


「え?」


「中体連。陸部は次の土曜…だっけ?」


「あ…うん、そうだけど」


「じゃあ、風邪ひいたら困るのは奥原くんの方だって!」



…じんわりと、胸の奥から温かさが伝わる。


俺の名前とか、俺の部活とか、今週大会があるとか。

それを知っていたのも意外だったけど。


…何より。



「…優しいんだね、野々宮さん」