たん、たん。 …たん。 ――――またすぐに、音は消えた。 俺はもう、怖くて顔があげられなかった。 あげたくなかった。 現実なんて、 現実なんて。 ただ見たくなかった。 だって俺は知ってるから。 神様はいつだって残酷だったことを。 この足音みたいに、 ふっと現れたと思ったら、またすぐに消えてしまう。 そして二度と聞こえなくなる。 ―――逢えなくなる。