その瞬間。






体が無重力空間に放り出されたようだった。



何一つ音がしない。

意識しすぎて変な圧力を感じ、逆に体がふわりと浮いているような感覚。

閉じた瞼は真っ黒い世界を目に映し出すのみ。



五感が狂ったように。


そこにはなにもなかった。








…たん。



どれくらい経ったかなんて知らない。


ただ、再び足音が動いた。