「戻してください」


神様みたいな人に、一歩だけ近づいた。


「どうして戻したいんだ?」

神様が瞬きした。


「伝えたいことがあるから」

俺も瞬きした。


瞬きしてから気づく。


俺の目には涙がたまっていたことが。


ぽろりと落ちた雫は真っ白い光の中で小さくはじけた。


「一人の女の子に、どうしても伝えなきゃいけないことがあるんです」


目の涙をそっと手で拭った。