「希衣!」
…あ。
思わず名前を叫ぶと、真っ黒なさらさらの長い髪を風になびかせて、ゆっくりと少女がこっちを向いた。
俺は動けない。
だって、君があまりにも
あまりにもすっきりしているように見えたから。
一歩、一歩、こちらへ歩いてくる彼女。
そして俺の目の前まで来ると、立ち止まって俺の顔を見上げた。
久しぶりに真正面からみた希衣は、のんだかすごく小さかった。
「わざと、落ちちゃった」
…は?
耳を疑いたくなる言葉に、俺は言葉を失った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…