カナエは病室に入ると

不安な顔をして凉を見ていた。


凉は、何度も言う。


「大丈夫だ!

 頑張って産め!

 俺もついてる!」


ずっとカナエの手を握っていた。


陣痛が激しくなると

看護婦さんが腰をさすってあげてと

指導してくれた通りに

カナエの腰をさする。


「今、落ち着いたから

 平気だよ!

 でも、こんな思いして

 産むんだから

 自分の子供は

 可愛いんだね・・。

 母親はすごいや・・。」


「今から、

 お前もその母親になるんだぞ!

 頑張れよ!」


陣痛の間隔が短くなってきたら

カナエは分娩室へと入っていった。


凉は座りながら願っていた。



《 母さん・・。

  カナエが無事出産

  できますように・・・。 》