凉は玄関先でカナエの部屋を

見ていた。


「なにしてるの?

 お兄ちゃん!」


「あ、今日は早いな・・。」


「カナエちゃん、産まれたの?」


「後、二、三日かもだって・・・。」


「え~!楽しみ~!

 じゃあ、今日は家なんだ・・・。」


「うん・・・。」


「寂しいの?」


「は?なに言ってるんだか!

 ただ、お腹平気かなと

 思ってきただけだよ!

 ほら、帰るぞ!

 また、来るんだろ!

 今日は何もないぞ!」


「え?どうしよう・・。

 最近、カナエちゃんが

 仕度してくれてたから・・。

 あ~甘えてたからな・・・。」


理子もカナエには

感謝していた。


でも、もう

そういうわけにはいかない。

また、元の生活に

戻るだけだと言い聞かせながら

夕食の仕度を始めた。