「そっか。

 俺は、岩井翼。

 理子ちゃんだよね?

 知ってるよ。」


「え?会ったことありました?」


「毎朝、お兄さんとケンカしながら

 歩いてるの見るから。

 で、いつも、“理子~”

 って、叫んでるから!」


「やだ、恥ずかしい。

 あのバカ兄貴はいいんです。」


笑っている翼の横で

理子は真っ赤になっていた。


「え?でも毎朝って

 家、近いんですか?」


「そうだね。

 通り道にあるぼろアパート。

 近所だからよろしくね。」


「はい!

 よろしくお願いします。」


「じゃあ、俺、こっちだから。

 またね、おやすみ。」


「おやすみなさい。」