「ていうか、優は彼氏いるじゃん!
なんで、ヒロトくんと会ったりしてんの?!」

「一弥とは別れたの…。」

「え?!もしかしてヒロトくんのことが好きになったから?」

私はうなづいた。

驚きを隠せずに、ようこは黙り込んだ。


「優のそういう気持ち、隠さず言って欲しかったな…。………でも言えないか!ヒロトくんが気になってた私には。」

「ごめんね…ようこ。」


「優のさ、その潔さとか一途なとこ、私、嫌いじゃないよ。」

ようこを見た。
微笑んだようこがいる。

泣きたいくらい嬉しかった。一瞬でもようこを失ってもいいなんて思った私はバカ過ぎる。


「ようこ、ありがとう…。」
声にならなかった。

「私は、優ほど本気になりきれてなかったからね!
がんばって、彼女付きだけどねー。」
と、ようこは笑って言ってくれた。
ようこの優しさが心にしみた。

私とようこの関係が、いつもと何も変わらないまま今ここにある。
それだけで、すごく嬉しかった。


私、ようこから逃げてた。
本当のやさしさに気付くのは、
どうしていつも傷付けてしまった後なんだろう…。