『…言い訳に聞こえるだろうけど…兄貴の言ったことは、間違ってない
…けど、それは俺が、お前と付き合う前に
ハッキリと型をつけた…。』
うそつき。
だって、晃が…
長い沈黙には意味があるらしい。声の震える猛を想像するだけで目が潤んだ。
『――と思ってたのは俺だけだったみたいだ
この話は、お前と向き合って直接話したい
愛梨…。今言うと、お前、腹立つかもしんねーけど…――――』
言い訳にしか聞こえないのに。
あたしにはどうしてかな、ごめんって、俺のせいだって言ってるようにしか聞こえない。
ずるい。
電話の向こうに、誰もいない。
分かってるけど…
「猛のバ…『―――――‘愛してる’』
!!!!
「っ…!」
思わず一時停止。
息が、心臓が悲鳴を上げた。
何、ずるいよ。やっぱりいつも、いつもアンタはずるい。
そうやって惑わせる。