「留守電…」
そういえば、聞いてない。
ちゃんと、向き合わなきゃいけないのかな。
きっと、猛だけが
『お前、電話出ねーから…』
悪いんじゃない。
ため息混じりの心配知ったような声があたしを縛った。
ピ……
『―――一件の…』
聞くのは怖くて、勇気がいるし、
今、欲しい言葉があったら…あたしは…一体、何を信じればいいんだろう。
『――…愛梨、これ聞いたら折り返し電話…ください』
改まっちゃって…アイツらしくな…。
そうだ、あたしがアイツらしさを奪ってる。
静かに、音もなく始まった留守電の再生は、心臓の音と重なり合って鳴り響く。
カーテンの隙間から覗いた太陽が、やけにまぶしかった。