「猛にはね、まだ繋がってる女がいる」
「えっ…?」
抵抗し続けた身体の力が一気に抜けた。
「あれ、大人しくなったね…知らないほうがよかった?クスクス」
「兄貴、いい加減に……!!!!!」
「事実だろう」
「っ……」
ほんとは否定してほしかった。
猛のバカ。
涙が止まらなくなっちゃうよ。
‘繋がってる女’そんな存在をチラつかせず、あたしを誘惑する黒い悪魔。
ちょっと、ちょっとだけ…見失った。
アンタは女の子には困らないってこと。
取り巻きだって、ファンだっていっぱいいるもの。あたしは端っこで片思いしてるだけの…
「惨めな女の子になっちゃったね…愛梨ちゃん」
そう、惨めな女。
今だけは晃のサディスティックな言葉も受け入れるしかなかった。
「愛梨、この話には、続きがあっ「もういいっ」
「愛梨…」
言い訳も、あたしを遊んだ形跡もみせてほしくない。
もし、この場で さよなら なんて言われたら…
「文化祭で…疲れちゃった…。あたし…帰るっ」
「あっ、待てって!」
この場の空気に、この場の雰囲気に流されただけの惨めな女。
わかってる。
あたしが一番、分かってるよ。