病室の白い壁に反射した夕日がまぶしくて思わず眉をひそめた。
「あっ……」
「やっぱり…♫」
そう言って、あたしの大嫌いなその人は、不穏な笑みを浮かべた。
その笑い方も、喋り方も全てあたしの嫌な思い出にしかつながらない。
「晃……」
「‘僕’の弟が世話になってるね」
そんなあたしたちの空気を読みとったのか、猛は身体を起こした。
「お前ら…何」
「こ、これはね!違うのッ…えっと…」
何か言わなきゃ。
どうしてもアンタのお兄さんと付き合ってたなんて言いたくない。
何か…言わなきゃ…
「‘僕ら’付き合ってたんじゃなかったっけ?」
「え…」
表情を失った猛。
「猛…あの…」
「俺の兄貴だって知ってて付き合ってたわけ」
「ちがっ…!!」