「聞いたぞ?お前彼女助けるためにそんな、なれ果てになったとか」
「なれ果てとかいうなし」
「御執着してるよーですねぇ」
「うるさい」
やだ…この声、知ってる。
落ち着け。あたし、思い出しちゃったらそこで終わりだ。
バレる。ここにいるのが。
「僕も会いたいなぁ…お前の彼女」
「一人称僕、やめろ。キモイ」
「…今だけ。なぁお前の彼女に会いたい」
布団越しに首を横に振ったのが分かった。
そう、そうして。あたしをその男にあわせないで。
衝撃的な現実があたしの目の前に迫っていた。
「僕…知ってるけど?」
「え?」
「その彼女、どこにいるかも、どんなコかも…よーく知ってる」
「何言ってんだ…兄貴が知ってるわけ…」
ガバッ
あたしの目に光が差し込んでくる。
気付いた時にはもう遅かった。