「おい、泣くなって!」
「だってぇ…っ」
あたしが悪いんだもん…
「愛梨…。…ココおいで」
いつもとは違う優しい声でベッドのふちをたたいた。
あたしは素直に、寄り添うように座った。
「お前が怪我しなくてよかったっつーの…」
ギュウッ…
あの夜とは違う、優しさがにじみ出たハグ。
本当はそんなこと思ってないでしょ…
こんなこと思うあたし可愛くないなぁ…。
「猛…あのね…あたし…」
猛の傍にいたいよって、一番伝えたかったことを口にできずに
病室の扉が開いた。
「お見舞いきたよぉーたけるぅ?」
この声は…南 雛乃ちゃん…。
「やべ…愛梨、ココ入れ」
指示されたのは、ベッドの中。猛の足元。
「バレるってば!」
ひそひそと話すあたしたちに容赦なく影は迫ってくる。
それでもいいから、と放り込まれたあたし。
わ…これはちょっといろんな意味でマズイ。