ご飯は下に置いてあるから、とだけ言って急いで家を出て行った。
「楠…ねぇ」
昨日はアレだけ俺を期待させておいて…猛って呼んでおいて今朝は楠だもんな。
他人行儀すぎて笑える。
そろそろ、しつける必要があるかもしれない。
病みつきになるアイツ。
多分アイツは俺が遊びで付き合ってるんだろうと解釈してるはず。
急いで制服に着替えて、下へ降りた。
「おはようございます…」
「楠くんか、ここへ座りなさい」
お父さんにせかされて、テーブル向かい側に座った。
「どうだ、わたしと賭け事してみないか」
「賭け事…ですか」
いきなりの申し出に俺は少し慌てた。
まさか愛梨の父からこんな言葉をきくなんて…。
「いわば…男の約束だ」
「…いいですね」
互いを見合わせてほほ笑んだ。
愛娘に関して、とゆっくりとくちを開いていった。