✯第一章特別視点 猛side
「―――のき!……きてって!」
遠くから声がする。
妙に熱を帯びた身体。少し幸福に満ちた寝起き。いつぶりだろう。
長く気分いい朝ってやつを感じてない気がした。
「楠!!起きろぉぉ!」
「うわぁっ?!」
勢いよく飛び起きた先には、あきれ顔の愛梨。
あれ、俺昨日……そうか、愛梨とヤったんだっけ。
なに、このギャップ(笑)
「あたし、先に学校行くね!」
制服に身を包んだコイツにそう言われて気付く。今日、文化祭だし。
忘れてるとかありえねー俺。
手元の時計を覗いた……
「…オイ、まだ6時半だぞ」
「あたしん家からアンタと出てきたら、何疑われるか分からないから先に行くって言ってるんじゃん」
あぁ。よく考えたもんだな。
そこまで頭が回らない俺は、まだ少し寝ぼけているのかもしれない。